くすりの木

勉強会の内容や、日々の業務で必要な知識を、健忘録としてこのブログに書いていきます。不定期更新です。

小児

小児の手足の痛み。

考えられる原因 成長痛:夜間、痛みで寝付けず泣くこともある。 整形外科的疾患:靴の不具合、単純性股関節炎、偏平足、ペルテス病など 外傷:疲労骨折、捻挫、打撲、虐待によるもの。 感染症:化膿性関節炎、化膿性骨髄炎、筋膜炎。 膠原病:小児慢性関節炎…

小児の突発性発疹について。

突発性発疹とは 乳児(主に生後4ヶ月から1歳まで)が罹患する。 3~4日間、38度から40度近い熱が続き、熱が下がると同時に全身に発疹が発生する。 高熱でも、機嫌が良くミルクも良く飲む事が特徴。便がゆるくなる。 突発性発疹はHHV-6(ヒトヘルペスウイルス…

小児の薬物動態の特徴

薬物の吸収について 新生児の胃内pH は出生直後はほぼ中性であり、成人の値に達するのは生後三ヶ月。そのため、新生児ではフェノバルビタール、フェニトインなどの酸性薬物の吸収は低下し、ペニシリンのような酸に不安定な薬剤の吸収は成人に比べ上昇する。 …

小児のしらみ(アマタジラミ)について。

しらみは不潔だから感染するのではない 日本以外の地域でも幼児・学童に増加している。 しらみの感染は、頭髪の接触で簡単に感染する為であり、不潔だからではない。 家族や集団単位での治療と予防が必要になる。 アマタジラミの好発部位は頭髪(特に側頭部…

小児の接触性皮膚炎

接触性皮膚炎の原因 灯油 火傷のような皮膚炎になる。灯油が付いた衣服との接触で生じる 植物 草によるかぶれでは、線状に並んだ小水疱型になる。 漆によるかぶれが起きた事がある子は、銀杏、マンゴーにも注意すること。 桜草、菊、アロエが原因で皮膚炎を…

反復性中耳炎のリスクファクター

反復性中耳炎とは 「過去6ヶ月以内に3回以上、12ヶ月以内に4回以上の急性中耳炎罹患」と定義される。 何らかのリスクファクターが、短期間に中耳炎を反復する原因となっていることが多い。 主なリスクファクター 低年齢 集団保育 母乳栄養期間 起炎菌の耐性…

ヒルシュスプルング病について。

概要 ヒルシュスプルング病とは、腸管の神経節細胞が先天的に欠如している為、消化管の動きが制御できず、重い便秘症や腸閉塞などの症状が起きる疾患。 無神経節腸管の長さは、約80%が肛門からS状結腸までであるが、大腸全てや小腸まで及ぶ例もある。 症状 …

【小児】発熱時はテオフィリン濃度が上昇する。

【発熱時はテオフィリンの血中濃度に注意】 発熱時や、インフルエンザなどの急性ウイルス観戦時には、肝臓でのテオフィリン代謝能力が低下し、テオフィリン血中濃度が上昇する。 したがって、発熱時には血中濃度上昇による副作用に注意が必要。 副作用の疑い…

中耳炎に対する漢方薬(小児)。

抵抗性のある中耳炎や反復する中耳炎に対しては、宿主の生体防御機能のサポートとして漢方治療が注目されている。 【乳幼児の免疫について】 乳幼児、特に2歳未満は一過性のグロブリン低下期間となり、免疫系のスロースターター群と考えられている。 母体由…

中耳炎時の家庭での対応について。

中耳炎発症時の家庭での注意点について記します。 【生活時の基本的な注意について】 帰宅時の手洗い、鼻かみ後の手洗いをしっかり行う。 人混みは避ける。 鼓膜切開後の生活の制限は特に無い。ただし、耳漏が出ている間はスイミング禁止。入浴時に耳に水を…

小児への漢方薬の飲ませ方。

赤ちゃんでも、問題なく漢方薬を飲める子はいますが、もしお子様が味や匂いを嫌がるようでしたら、以下の方法を試してみてください。 【好きな食べ物に混ぜる】 プリンやアイスクリーム、ジャムなどに混ぜると、漢方の独特な匂いや味がコーティングされて食…

タミフルの美味しい飲ませ方!

インフルエンザの診断で、子どもにタミフルが処方される事があると思います。 子どもの場合は粉(ドライシロップ)で処方されるのですが、これがものすご~~く苦くて、飲ませるのに苦労する親御さんは多いかと思います。 苦いタミフルを美味しく飲む方法、…

小児のおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について

【おたふくかぜとは】 耳下腺腫脹ち発熱が主症状のウイルス性疾患であり、小児によくみられる。 耳下腺の腫れは両側が腫れる事が多いが、片側だけのこともある。顎下腺や舌下腺の腫脹もみられ、腫れ方はやわらかく、痛みを伴う。 子どもの「耳が痛い」という…

小児の咳と痰。

小児の場合、湿性の咳の多くは、鼻汁(後鼻漏)が原因となることが多いので、鎮咳薬ではなく、鼻炎のコントロールが重要になってくる。 大人と原因疾患が異なることが多いので、注意。 【咳】 湿性の咳の主体は炎症。 乾性の咳の主体は、ホコリや冷風などの…

中耳炎について(小児)

【中耳炎は子どもに多い病気】 子どもは、風邪をひくと中耳炎になりやすいと言われています。子どもが耳の痛みを訴えたりしたときは、すぐに耳鼻科を受診しましょう。 また、子どもの軽い難聴は、滲出性中耳炎が原因の事もあり、放置すると治療が困難になり…

小児の結膜炎、めやに

【症状】 結膜の充血や涙、眼脂が現れる。炎症が強いと、眼の痛みや異物感、まぶしさ等を訴えることもある。 鼻水、鼻詰まりのある乳幼児に眼脂が出ることは多いが、鼻閉による一時的な鼻涙管うっ滞によるもので、結膜炎ではない。 【分類】 【細菌性結膜炎…

小児のインフルエンザ

今回は親御さん用に書かせて頂きます。 これからインフルエンザの流行が予想されますので(12月~3月の流行が多い)、少しでも参考になれば幸いです。 【治療について】 ・薬をもらったら、すぐに治療(内服、もしくは吸入)を開始すること。 ・インフル…

自家中毒症

「自家中毒」といっても、食中毒ではない。 4~5歳の幼児が、喜怒哀楽のような心理的ストレスや、発熱のような病気によるストレスにより、突然嘔吐を繰り返す。 10歳頃までには自然治癒する、予後良好な病気である。 通常は数日以内で治癒する。一週間も…

小児の誤飲~ボタン電池~

ボタン電池の誤飲は、1歳前後が多いが、3歳過ぎまで誤飲の報告がある。 コイン形ナトリウム電池の場合、電圧が3Vと高く、安定した放電が怒り、消化管内で停滞するとそこで体液が電気分解される。 電池の陰極に、水酸化物イオンが発生し、そのアルカリで1…

小児のじんましん

【概要】 原因除去がじんましん治療の基本であるが、原因を見つけるのは容易ではない。 治療は痒みの除去などの対症療法となる。 治療を中止すると再発することもある。 アナフィラキシーはじんましんの重症型で、咽頭浮腫やショックを起こし、生死に関わる…

熱性けいれんの予防について

《ジアゼパム予防投与の基準》 ・単純型熱性痙攣で2回以下なら、予防投与の必要はない ・複合型熱性痙攣なら1~2回起こせば予防投与を開始する。 ※以下の鑑別事項が1つでもあれば、複合型熱性けいれんとなる。 けいれんの持続が15分以上、けいれんが半身…

小児の気管支喘息 その1

小児の気管支喘息は、約90%がアトピー型である。乳幼児期に発症し、60~80%は思春期に無症状となり寛解する。 《急性発作時》 決して我慢させず、家庭での対応に限界が有る場合(下記参照)は、速やかに医療機関を受診すること。 このような場合は救急受診…

災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット

日本小児アレルギー学会が作成した資料です。 災害時は慣れない環境での生活になりますし、症状の増悪が懸念されます。 このような資料をお手元に置いておくのも良いかと思います。 ↓↓↓ 日本小児アレルギー学会 - 災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフ…

小児の誤飲について~消毒液~

今回の消毒液は、市販の消毒液についてですが、中毒症状を引き起こす成分(ナファゾリン)は点鼻や点眼液にも含まれている事があります。 保管には十分に注意してください。 【消毒液(マキロンなど)】 ナファゾリン(市販の消毒液には、血管収縮薬として入…

小児の誤飲について~うがい薬~

【うがい薬】 主成分によって、対応が異なるので注意。 《ポピドンヨード》 イソジンガーグル、イソジンうがい薬、ケンエーうがい薬などの場合、ほとんど症状が現れない。 牛乳などをのませて様子をみる。 大量に誤飲している場合は、催吐、または胃洗浄。 …

小児の誤飲について~アセトアミノフェン~

前回に引き続き、今回はこれです。 【アセトアミノフェン】 初期に無症状でも、遅延性の肝障害に注意して経過観察する。 (2~3日後に肝障害が出ることあり) 小児の場合、125~150mg/kg以下でも毒性発現の可能性あり。 (12歳未満の中毒用量は200mg/kg以…

小児の誤飲について~タバコ~

【誤飲の現状】 全国の小児の誤飲の報告件数をみると、過去何年もの間、1位がタバコ、2位が医薬品を占めている。 オモチャやボタン電池の誤飲の報告も多い。 【タバコ】 通常のタバコは感想しており、口のなかに張り付いて簡単には飲み込めない為、重篤な…