くすりの木

勉強会の内容や、日々の業務で必要な知識を、健忘録としてこのブログに書いていきます。不定期更新です。

ウイルスについて

ウイルスとは 真菌、細菌とは異なり、それ自身で人口培地上で増殖することができない。 極めて小さく、光学顕微鏡では観察できない。 ラテン語で「毒」を意味する言葉。 ウイルスの性状 細菌濾過膜を通過する大きさ(約20~300nm)。 遺伝子としてDNAあるいは…

耳垢栓塞について

耳垢とは 耳垢は、外耳道の分泌腺から分泌される分泌液とホコリなどが交じることで形成される。 耳垢には湿性と乾性の二種類あり、日本人の約7割は乾性の耳垢である。湿性タイプの多い欧米では、耳垢除去に関するガイドラインが作成されているが、乾性タイプ…

デング熱で注意すべき事

デングウイルスを媒体する蚊は人の住環境に生息しているので、森や林で感染するとは限らない。 都市部で感染が流行することもあるので、注意が必要。 【症状】 デングウイルスを持った蚊に刺された後、約2~15日(多くの場合は2~7日)後に発症する。 …

別冊宝島「人体大図鑑」がなかなか良いです!

別冊宝島の「人体大図鑑」。 職場の人に勧められて、買ってみました。 意外と詳しく載っていて、とても良いです! しかもお値段980円(税別)!! 養老孟司先生が監修をされています。 病気の発症についても載っていました。 専門の人には情報量が少ない…

熱中症について

熱中症とは 熱中症とは、高温環境下で起こる 体内の水分や電解質(ナトリウム・カリウムなど)の欠乏 高体温による臓器障害 の総称。 熱中症の要因 気温、湿度が高く、風が弱い 輻射熱の上昇 運動による体内での熱産生 加齢などによる身体の放熱能の低下 発…

椎骨脳底動脈循環不全によるめまいについて。

椎骨脳底動脈とは 椎骨脳底動脈とは、内勁動脈と共に脳に血液を送る動脈のこと。 鎖骨下動脈から分岐し、脳幹、小脳に血液を送る。 左右1対づつある椎骨動脈が頭蓋骨内(橋の後縁)で合流し、1本の脳底動脈となる。 椎骨脳底動脈循環不全とは 椎骨動脈の循…

うつ病の最先端検査と治療法について(テレビ番組『医療の現場』メモ)

【概要】 目で見てうつ病かどうか判断出来る検査(光トポグラフィー検査)の登場により、問診だけの診断を補助し、より適切な治療が行えるようになった。 薬剤を内服しても、約3割の人は症状の改善がみられないことがある。そのような人の場合、自殺願望が…

ヒルシュスプルング病について。

概要 ヒルシュスプルング病とは、腸管の神経節細胞が先天的に欠如している為、消化管の動きが制御できず、重い便秘症や腸閉塞などの症状が起きる疾患。 無神経節腸管の長さは、約80%が肛門からS状結腸までであるが、大腸全てや小腸まで及ぶ例もある。 症状 …

甲状腺ホルモンについて

【甲状腺ホルモン】 ◎トリヨードチロニン(T3) ◎チロキシン(T4) ペプチドでもステロイドでもない低分子物質で、アミノ酸であるフェニルアラニンから生合成される。分子内にヨウ素原子を持つ。 TSH(甲状腺刺激ホルモン)により甲状腺から分泌される。 甲…

慢性副鼻腔炎の成立と治療について

【鼻腔】 鼻腔の周囲には、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4対の副鼻腔が存在する。 副鼻腔は自然口と呼ばれる直径2~3㎜の穴で鼻腔とつながり、常に副鼻腔内の換気が行われている。また、内部の粘膜は線毛に覆われ、ウイルスや粘液等の排泄機能を有…

腫瘍の分類~良性?悪性?~

【腫瘍とは】 腫瘍とは、過剰な自立性をもつ新生細胞群(腫瘍実質)と、それを支える組織である腫瘍間質からなる。 腫瘍は 良性か悪性かに分類される。悪性腫瘍は更に、癌腫か肉腫かに分かれる。 【良性腫瘍】 ある程度の大きさになると成長が止まり、転移及…

慢性便秘症の診断と治療について(勉強会メモ)

慢性便秘症は2つのタイプに分けられる。 大腸通過遅延型 便排出障害型 大腸通過遅延型の場合は、食物繊維の摂取、酸化マグネシウムを内服する。 便排出障害型の場合は、排便造影検査、大腸通過検査を行う。レスキューとして、刺激性下剤を使用する(出なか…

マクロライド系抗生物質の特徴、抗菌以外の作用について。

【マクロライド系の抗菌作用の特徴】 細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、細菌のタンパク合成を阻害して増殖を抑制する。 時間依存性である。 静菌的に作用するが、高濃度もしくは菌の種類によっては殺菌的に働く。 組織移行性が高く、細胞内へも高濃…

【すぐに出来る】花粉症の為の生活改善のポイント!

辛い花粉症の時期を、出来るだけ楽に乗り切りたいですよね。 すぐに出来る生活改善のポイントを5つ挙げますので、参考にしてください。 【その1】植物油を多く摂らない! 植物油に含まれるリノール酸(n-6系)は、体内でアラキドン酸に変化し、炎症を促進…

高カリウム血症について

【高カリウム血症を生ずる病態】 腎不全 正常なナトリウム、カリウムの交換が妨げられている状態。 出血性ショックと、急性腎不全により循環血液量減少が起こると、身体は可能な限り血圧と血液量を維持しようと務める。腎臓の機能停止のおそれのあるような乏…

【小児】発熱時はテオフィリン濃度が上昇する。

【発熱時はテオフィリンの血中濃度に注意】 発熱時や、インフルエンザなどの急性ウイルス観戦時には、肝臓でのテオフィリン代謝能力が低下し、テオフィリン血中濃度が上昇する。 したがって、発熱時には血中濃度上昇による副作用に注意が必要。 副作用の疑い…

NSAIDsの外用剤は不妊を引き起こすか?

【NSAIDsによる不妊報告について】 長期間NSAIDsを服用していた患者に一時的な不妊が認められたという症例が海外で報告された。 酸性NSAIDs(インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、ナプロキセン)を数年間服用していた慢性関節リウマチ等の炎症性…

PRGF法について

PRGF法とは、plasma Rich in Growth Factors の略。 患者から採取した血液を遠心分離にかけ、中の増殖因子(成長因子)を多く含む血症を用いて治療する方法。 自己血を使用するため、副作用はほとんど無く、更に治療期間を短縮できるという利点がある。 プロ…

医療事故を防ぐ為には~ハインリッヒの法則~

【人間は間違いを起こすもの】 人とは間違いを起こすもの。 個人の経験、知性、動機、注意力とは無関係に、人は間違えを起こす。 患者の安全を守る為には、 間違いを少しでも減らすための対策 もし間違いを起こしても、事故に拡大させないための対策 をとる…

中耳炎に対する漢方薬(小児)。

抵抗性のある中耳炎や反復する中耳炎に対しては、宿主の生体防御機能のサポートとして漢方治療が注目されている。 【乳幼児の免疫について】 乳幼児、特に2歳未満は一過性のグロブリン低下期間となり、免疫系のスロースターター群と考えられている。 母体由…

中耳炎時の家庭での対応について。

中耳炎発症時の家庭での注意点について記します。 【生活時の基本的な注意について】 帰宅時の手洗い、鼻かみ後の手洗いをしっかり行う。 人混みは避ける。 鼓膜切開後の生活の制限は特に無い。ただし、耳漏が出ている間はスイミング禁止。入浴時に耳に水を…

小児への漢方薬の飲ませ方。

赤ちゃんでも、問題なく漢方薬を飲める子はいますが、もしお子様が味や匂いを嫌がるようでしたら、以下の方法を試してみてください。 【好きな食べ物に混ぜる】 プリンやアイスクリーム、ジャムなどに混ぜると、漢方の独特な匂いや味がコーティングされて食…

腎機能障害時におけるスタチンの血中濃度上昇について

【HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の分類】 現在、6種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬が日本の臨床で使われている。 LDLコレステロールを下げる力が強いものをストロングスタチンと呼び、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンの三種類が分類され…

アポトーシスとネクローシスについて

職場の先輩から、「ステロイドでアポトーシスが起きる」と教えて頂いたので、調べてまとめてみることにしました。 まだ完全にまとめきれていないので、後日追記するかもしれません。 まずは基本的な細胞死の種類から。 【アポトーシス】 能動的、機能的、積…

タミフルの美味しい飲ませ方!

インフルエンザの診断で、子どもにタミフルが処方される事があると思います。 子どもの場合は粉(ドライシロップ)で処方されるのですが、これがものすご~~く苦くて、飲ませるのに苦労する親御さんは多いかと思います。 苦いタミフルを美味しく飲む方法、…

小児のおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について

【おたふくかぜとは】 耳下腺腫脹ち発熱が主症状のウイルス性疾患であり、小児によくみられる。 耳下腺の腫れは両側が腫れる事が多いが、片側だけのこともある。顎下腺や舌下腺の腫脹もみられ、腫れ方はやわらかく、痛みを伴う。 子どもの「耳が痛い」という…

PAD(抹消動脈疾患)についての勉強会メモ

【PADとは】 閉塞性動脈硬化症、鎖骨下動脈狭窄などの末梢性動脈疾患の総称。 ABI(足関節部最高血圧/上腕動脈最高血圧)ですぐに診断可能。 【PADの現状と予後・治療目標】 PADは今、世界的大流行になっている。 予後が非常に悪く、5年生存率が60%で大腸が…

中野稔翻訳「正しい体液・電解質のモニタリング」~アメリカの看護師の教科書~

あけましておめでとうございます。 2015年初記事です。 今日は、本の紹介をしたいと思います。 中野稔先生という、フリーラジカル研究の第一人者(元・日本抗体研究所・光フリーラジカル研究部門長)の先生が訳した「正しい体液・電解質のモニタリング」とい…

ディレグラ勉強会メモ

【アレルギー性鼻炎治療の現状】 2008年の疫学調査によると、アレルギー性鼻炎を発症している人は日本で5000万人。そのうちの1000万人が医療機関で治療を受けている。 また、花粉症を発症している人で、通年性アレルギー性鼻炎も合併している人…

風邪やインフルエンザなどの発熱時に休薬すべき漢方。

発熱時に休薬した方が良い漢方は、大きく分けて二種類あります。 ①冷え性の漢方・・・当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、人参湯、附子理中湯 (附子人参湯)、など。 ・人参は熱が下がりにくくなるので注意。 ②補気剤・・・六君子湯、補中益気湯、啓脾湯…