インフルエンザウイルスの構造と、パンデミックウイルスへの変容、対応について
【インフルエンザウイルスの構造について】
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の三種類に分けられる。
A型は突然変異しやすく、世界的に大流行を起こしやすい。B型の流行はやや小さく、C型は地域的な流行を起こすと言われている。
インフルエンザウイルスはRNA型で、大きさは80~100nmの球型をしており、外側にエンベロープを持っている。
エンベロープは、細胞に吸着する成分のヘマグルチニン(H)と、細胞から離れる時に必要なノイラミニダーゼ(N)を持っている。
A型のインフルエンザウイルスは、Hが16種類、Nが9種類あるので、144通りもの組み合わせが出来ることになる。
この、HとNの型の違いで、インフルエンザウイルスの種類が分けられる。
良く、「H1N1」とか、「H3N2」といった名前がインフルエンザウイルスに付けられているのは、このヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)の種類の違いから来ている。
【全ては鳥インフルエンザウイルスから】
カモやアヒルは、インフルエンザウイルス144種類全て持っていると言われているが、発症はしない。
それらのインフルエンザウイルスが、ニワトリなどに感染し、強毒株になったものが「高病原性鳥インフルエンザ」となる。
(感染したニワトリは、48時間以内に死亡する)
鳥インフルエンザが変異して、種の壁を超えて人に感染が広がって初めて、「新型インフルエンザ」と呼ばれる。
当然のことながら、新型インフルエンザウイルスに対する、人の免疫は無い為、発生すれば全世界に広がってパンデミックを引き起こす可能性がある。
(最初は新型扱いでも、感染を繰り返している型は、季節性のインフルエンザウイルスと定義される)
鳥インフルエンザから新型インフルエンザになるケースは二種類。
①鳥インフルエンザウイルスが、人や鳥類の体内で変異する場合
②人や豚に、ヒト型と鳥型のインフルエンザウイルスが同時に感染し、体内で混ざり合う事で、ヒトからヒトへの易感染症を獲得する場合
がある。
【新型インフルエンザの症状と、治療について】
治療の基本は、例年発生する季節性インフルエンザと同じ。
患者の早期発見と、抗ウイルス薬による早期治療(発症後48時間以内)、患者からの感染予防対策が重要。
新型で気をつけないといけないのは、子どもから高齢者まで病原ウイルスに対する抗体が無く、全員が高い確率で罹患し、重症化しやすいという点。
初期の症状では、新型か季節性なのかは分からない。
ウイルスが上気道や肺で増殖し、発熱等の全身症状を引き起こす。ウイルスの型によっては、多臓器不全やインフルエンザ肺炎発症のリスクが高くなる場合もある。
新型ウイルスによる臨床症状、病毒性、薬への感受性などは、流行直後にWHOから発表される。
※以前書いた、こちらの記事も参考にしてください。
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