腎機能障害時におけるスタチンの血中濃度上昇について
【HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の分類】
- 現在、6種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬が日本の臨床で使われている。
- LDLコレステロールを下げる力が強いものをストロングスタチンと呼び、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンの三種類が分類されている。これらのストロングスタチンは、約40%のLDLコレステロールの低下作用が期待される。
- 他のスタチン(プラバスタチン、シンバスタチンなど)は約20~30%のLDL低下率が期待される。
【腎機能障害時における血中濃度の機序】
- 軽度や中等度の腎機能障害では影響は無いが、重度の腎機能障害児には血中濃度が上昇することが報告されている。
- スタチンはCYPで代謝されるものが多く、まずはCYPの阻害薬のリスク評価について評価すべきである。
- 複数のスタチンは、有機アニオントランスポーター(OATP)により、肝臓に取り込まれることが知られている。
- シクロスポリンとの併用による血中濃度上昇は、有機アニオントランスポーター(OATP)阻害によるものである。
- 尿毒症性物質が有機アニオントランスポーター(OATP)の活性を阻害することが示唆されており、腎障害による尿毒症性物質の蓄積が、スタチンの肝臓への取り込みを阻害することにより、血中濃度が上昇すると考えられている。
【スタチンの副作用について】
- 重篤な副作用としては、横紋筋融解症が挙げられる。血中、尿中ミオグロビン、クレアチニンキナーゼの上昇、脱力感、筋肉痛が認められ、多臓器の障害を生じることもある。
- スタチン血中濃度の上昇、腎機能障害、横紋筋融解症誘発薬剤(ニコチン酸剤、フィブラート系薬剤など)との併用に注意が必要である。
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