NSAIDsの外用剤は不妊を引き起こすか?
【NSAIDsによる不妊報告について】
- 長期間NSAIDsを服用していた患者に一時的な不妊が認められたという症例が海外で報告された。
- 酸性NSAIDs(インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、ナプロキセン)を数年間服用していた慢性関節リウマチ等の炎症性関節疾患の女性患者において、不妊状態が出現。その後、NSAIDsの服用を中止したところ正常に妊娠した。
【NSAIDsが引き起こす不妊の機序】
- NSAIDsによるシクロオキシゲナーゼ阻害作用により、プロスタグランジンの合成が阻害される事に関係する。
- 排卵前期の卵胞には、COX2が発現し、排卵を促進する働きのあるプロスタグランジンE2の合成を促進する。そのため、NSAIDsを服用すると、COX2が阻害されて卵胞が成熟しても排卵されないまま黄体化してしまい、不妊が引き起こされると考えられている。
- しかし、NSAIDsによる不妊は可逆的なものである。
【NSAIDs外用剤における不妊への影響】
- 外用剤の使用は一時期なものであり、短期の使用であれば問題ない。
- NSAIDsの不妊への影響は可逆的なため、使用後に影響が残ることは考えにくい。
- これまでの不妊の報告は全て経口剤であり、外用薬での血中移行濃度は非常に少ない為、不妊に対する影響はほとんど無いと考えられる。
- 軽い炎症で短期のNSAIDs外用薬の使用であれば、炎症が緩和したら外用剤の使用を自己判断で中止しても構わない。