くすりの木

勉強会の内容や、日々の業務で必要な知識を、健忘録としてこのブログに書いていきます。不定期更新です。

慢性副鼻腔炎の成立と治療について

 

 

【鼻腔】

  • 鼻腔の周囲には、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4対の副鼻腔が存在する。
  • 副鼻腔は自然口と呼ばれる直径2~3㎜の穴で鼻腔とつながり、常に副鼻腔内の換気が行われている。また、内部の粘膜は線毛に覆われ、ウイルスや粘液等の排泄機能を有している。

 

【炎症の悪循環】

  1. ウイルスや細菌感染を発端に、副鼻腔周辺の粘膜が炎症を生じ、サイトカインを放出する
  2. それにより、副鼻腔粘膜の粘液の分泌が亢進される。
  3. 線毛機能の低下や、自然口の閉鎖、組織障害が起こり、副鼻腔粘膜の換気・排泄障害が生じる。
  4. 副鼻腔において、鼻腺の活発化による鼻汁の過分泌、細菌によるバイオフィルム形成、好中球集積、気道上皮傷害因子の産生が起きる。
  5. 結果、炎症が更に悪化する。

 

慢性副鼻腔炎は、この炎症が治癒しないまま3ヶ月以上持続し、慢性化した状態の事を言う。

 

【治療】

慢性副鼻腔炎に対しては、マクロライド療法が第一選択。

 ※日本鼻科学会作成「副鼻腔炎診療の手引き」参照。

 

 

マクロライド療法が効果不十分な病態】

  • アレルギー性炎症が主体である症例
  • 気管支喘息を合併し、好酸球浸潤を有している症例
  • 中鼻道が高度に閉鎖している症例
  • 大きな鼻茸(ポリープ)を有する症例
  • 長期投与中に急性増悪を生じた症例

※アレルギー性炎症合併例では、抗アレルギー剤とマクロライドの併用でかなりの有効性が期待できる

※高度の多発性鼻茸を伴う場合は、ESS(内視鏡下鼻内副鼻腔手術)の適応となる。

 

 

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