体液性免疫について
体液性免疫とは
- 異物の侵入によって抗体が産生され、抗体によって異物の排除を行う。
- 抗体は微生物の付着を阻止、毒素の中和、微生物の凝集、食細胞による貪食を促進させる。また、補体と共に細菌を溶解させる。
①抗原
- 体内に侵入すると、免疫系の細胞が認識し、抗体を産生させる物質。免疫反応性がある。
- 抗体と結合する部分を抗原決定基(エピトープ)と呼ぶ。
②抗体
- 抗体産生細胞によって産生され、対応する抗原と特異的に反応する糖タンパク質。
- H鎖2本、L鎖2本からなる基本骨格。分子内はS-S結合でつながっており、還元するとそれぞれの鎖に切断される。
- IgMではJ鎖が1本存在する。
- 抗体を含む血清を抗血清と呼び、代表的な抗体として免疫グロブリンがある。
【免疫グロブリンの分類と特徴】
血清のγグロブリン分画に含まれ、H鎖定常部の違いにより分類される。
- IgA:分子量16万。IG中の割合は10~15%。局所免疫に関与。消化管や気管などの粘膜面で感染防御に関与している。
- IgE:分子量19万。IG中には少量含まれる。即時型アレルギーに関与。肥満細胞、好塩基球上に受容体が存在する。健常人では最も少ない量。
- IgD:分子量18万。IG中の割合は少量。B細胞の分化に関与している。新生児のリンパ球に存在する。
③補体
- 正常血清中に存在する約20種の易熱性のタンパク質(酵素系)。
- 抗原抗体反応やある種の物質によって活性化され、免疫反応を引き起こす。
【補体の活性化】
- 各成分の連鎖反応で活性化される。
- 補体が失活するのは56度30分処理。
【補体の機能】
- 細胞溶解反応
- 食細胞の遊走促進作用
- オプソニン作用
- 血管透過性亢進
- 免疫粘着反応
④抗原抗体反応
- 抗原のエピトープと抗体のFab部の結合反応。
- 結合は非共有結合で可逆的(ファンデルワールス力、クーロン力、静電引力、水素結合、疎水結合など)
- 選択性が非常に高い反応。
- 抗原のエピトープの数が多いほど、抗原抗体複合体の安定性は高くなる。
【反応の種類】
- 凝集反応・・・抗体の結合部分が2個以上ある為、抗原を介して架橋を形成し、凝集塊が形成される。
- 沈降反応・・・大きな凝集塊を形成し、不溶性の沈殿物を生成する。
- 中和反応・・・毒素、酵素、ウイルスなどが特異抗体と結合して活性が阻害される事を中和反応という。
【主な抗原検出法】
- ラジオイムノアッセイ(RIA)・・・抗原または抗体を放射標識し、高感度の検出を行う。
- エンザイムイムノアッセイ(EIA)・・・放射標識ではなく、酵素標識した抗体により高感度の検出を行う。
- 蛍光抗体法・・・蛍光物質で標識した抗体を用いて、高感度の検出を行う。
- 赤血球凝集試験・・・血液型の判定に用いられる。
- 受身凝集試験・・・可溶性抗原をカオリン、ラテックス、ゼラチンなどに付着させ、抗体と反応させて凝集塊を形成させる。
- ウエスタンブロット法・・・電気泳動により分離した抗原タンパク質をニトロセルロース膜などに転写し、膜上で抗体と反応させ、さらに標識二次抗体と反応させて検出する。
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