小児の薬物動態の特徴
薬物の吸収について
- 新生児の胃内pH は出生直後はほぼ中性であり、成人の値に達するのは生後三ヶ月。そのため、新生児ではフェノバルビタール、フェニトインなどの酸性薬物の吸収は低下し、ペニシリンのような酸に不安定な薬剤の吸収は成人に比べ上昇する。
- 新生児は胃が空になるまでの時間(emptying time)が長い。このことより、薬物血中濃度のピークの高さを低下させ、ピーク到達時間の遅延が生じる。ただし、吸収量は必ずしも影響を受けるとは限らない。
- emptying timeの延長により、食事の影響を受けやすくなる。胆汁分泌、膵臓機能が未熟な上、母乳、人工乳共に脂肪が多いので、脂溶性薬剤の吸収は低下する。
薬物の体内分布
- 胎児、新生児は成人よりも水分は多く脂肪は少ない。
- 水溶性の薬剤は比較的低濃度に、脂溶性の薬剤は比較的高濃度に分布する。
- 胎児、新生児における脳重量の体重に占める割合は多く、脂溶性の薬剤の体内分布が中枢神経系に集中する傾向がある。
- 血漿タンパク質も薬剤分布を決める重要な因子である。新生児、未熟児では血漿タンパク質などの血中濃度がいずれも低く、この時期のアルブミンは薬剤との結合率が低い。
肝臓での代謝・排泄
- 成人で重要なCYP3A4は新生児では低く、乳児期に発達していく。
- 第二相反応におけるグルクロン酸抱合は、出生直後は極めて活性が弱い。硫酸抱合、グルタチオン抱合は成人とほぼ同程度の活性を有する。
- 肝代謝の薬物は、乳児において血中濃度が上がりやすい。
- 新生児期の肝臓からの薬物の排泄も低下する。
腎臓からの排泄
- 新生児は成人に比べて糸球体濾過率は低く、腎血流量も少なく、成人の2.5~5%。
- 尿細管分泌機能も未熟である。
- 腎排泄型の薬物の半減期はかなり長くなりやすい傾向にある。
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