小児のおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について
【おたふくかぜとは】
- 耳下腺腫脹ち発熱が主症状のウイルス性疾患であり、小児によくみられる。
- 耳下腺の腫れは両側が腫れる事が多いが、片側だけのこともある。顎下腺や舌下腺の腫脹もみられ、腫れ方はやわらかく、痛みを伴う。
- 子どもの「耳が痛い」という訴えで、耳鼻科を受診することが多い。
- ほとんどは約一週間で軽快するが、髄膜炎の合併には注意が必要。
【鑑別すべき疾患】
- 反復性耳下腺炎と似ているので注意すること。
- 反復性耳下腺炎は、おたふくかぜよりも耳下腺の腫れが固めで顎下腺や耳下腺が腫れることは無い。多くは2~3日で軽快し、発熱もあまり見られない。既往歴とおたふくかぜ抗体価、エコーで鑑別可能。
【治療】
- 発熱、疼痛時用のアセトアミノフェン
※おたふくかぜと診断した場合は抗菌薬は不要
【合併症】
《髄膜炎》
- おたふくかぜの約10%くらいに髄膜炎の合併症がみられる。
- 高熱、頭痛、嘔気、嘔吐、顔色不良でぐったりしている時は要注意。
- 髄膜炎の頭痛はかなりの痛みのため、我慢強い子が痛いと訴える時は要注意。
《睾丸炎》
- 思春期以降の男子がおたふくかぜに罹患すると、約20~30%に睾丸炎を併発する。ほとんどは一側性。
- 40度前後の高熱が数日続き、頭痛や嘔気を伴う。
- 安静にすることが大事
《難聴》
- 非常にまれだが、重篤な合併症として注意が必要。一側性の場合が多い。
※その他:女子は卵巣炎を起こすことがある。
【ホームケアのポイント】
- 安静が第一です。
- 酸味があるもの、噛まなければならない食べ物は避けましょう。噛むと痛くなります。
- 熱が下がって痛みも取れたら、入浴してかまいません。
- 登園、登校は腫れがひくまで約一週間休んでください。
- 高熱が続き、頭痛や吐き気がある場合、顔色が悪くぐったりしている場合は早めに受診しましょう。