多剤耐性アシネトバクターについて
アシネトバクターは環境に広く存在する菌
- 院内にも、自然界にも広く存在する細菌。
- 院内の床や、医療従事者の皮膚からも分離されるが、そのほとんどは抗菌薬に感受性がある。
乾燥した環境でも長時間生存できる
- アシネトバクターはブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌。
- 乾燥した環境でも長時間生存できる(三週間以上生き残ったという報告あり)。
- この特徴が、院内感染の原因菌となりやすい理由の1つでもある。
- 院内から分離された場合、床、ドアノブ、カーテンなどを含めた院内環境の消毒が必要。
- 基本的にアルコール消毒などの通常の消毒剤が有効。
病原性が強いのはAcinetobacter baumannii
- アシネトバクター属は約30種類存在するが、人の感染症原因菌として分離されるのはほとんどA.baumannii。
- 何故感染症の原因になりやすいのかは解明されていない。
- 肺炎、尿路感染症、敗血症、創部感染症などの原因になる。
- 特に、人工呼吸器装着患者に発生するVAP(人工呼吸器関連肺炎Ventilator-associated pneumonia)の原因に注意が必要。
- ただし、健常人が感染を起こすことは稀であり、ほとんどが日和見感染である。
耐性を示す抗菌薬について
多剤耐性アシネトバクターに強い抗菌活性を示すもの
- βラクタム剤とアミノグリコシド系の併用が多いが、有効性に関して十分なエビデンスは無い。
- コリスチンとチゲサイクリンは強い抗菌活性を示すが、両剤とも日本では承認されていない。
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