マクロライド系抗生物質の特徴、抗菌以外の作用について。
【マクロライド系の抗菌作用の特徴】
- 細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、細菌のタンパク合成を阻害して増殖を抑制する。
- 時間依存性である。
- 静菌的に作用するが、高濃度もしくは菌の種類によっては殺菌的に働く。
- 組織移行性が高く、細胞内へも高濃度で移行する。
- リケッチア、クラミジア等の細胞内寄生菌に高い抗菌力を発揮する。
- マイコプラズマ、非定型抗酸菌にも抗菌力を有する。
【マクロライド系の抗菌力以外の作用】
14員環、15員環のマクロライド系は抗菌力以外の抗炎症作用や免疫調整作用を有する。
《宿主に対する作用》
●粘膜線毛輸送系に対する作用
粘液産生の減少、水分分泌の抑制、粘液線毛クリアランスの増強
●生体防御に対する作用
粘膜免疫増強作用(IgA、IgG産生抑制)
抗菌ペプチド産生促進作用
●サイトカイン、ケモカイン産生に対する作用
細胞内情報伝達シグナルの発現抑制
炎症性サイトカイン産生抑制、または増強
ケモカイン産生抑制
●細胞遊走に対する作用
好中球、マクロファージの遊走抑制作用
細胞接着因子発現の抑制
●活性酸素産生に対する作用
●アポトーシス増強作用
《病原体に対する作用》
●細菌のバイオフィルム形成抑制作用
●細菌のQuorum-sensing機構に対する抑制作用
※Quorum-sensing機構・・・細菌などの微生物が化学物質のやりとりによって、自分と同種の細胞が周囲にどのくらいの数、密度で存在しているのかを感知し、その情報にもとづいて特定の物質の産生を行う機構のこと。
●細菌毒素の産生抑制作用
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【すぐに出来る】花粉症の為の生活改善のポイント!
辛い花粉症の時期を、出来るだけ楽に乗り切りたいですよね。
すぐに出来る生活改善のポイントを5つ挙げますので、参考にしてください。
【その1】植物油を多く摂らない!
植物油に含まれるリノール酸(n-6系)は、体内でアラキドン酸に変化し、炎症を促進させる方向に働きます。一方、青魚などに含まれるDHAやEPAなどのn-3系の脂肪酸は、炎症を抑制する方向に働きます。
これらの脂肪酸は、細胞膜のリン脂質に結合している為、炎症性疾患とn-6系・n-3系の脂質のバランスは深く関係していると考えられます。
リン脂質への脂肪酸の取り込みは濃度依存性である為、出来るだけn-6系の植物油の摂取を控え、青魚などのn-3系の摂取を多くすると良いでしょう。
天ぷらなどの揚げ物はなるべく避けた方が良いでしょう。
【その2】腸内細菌叢のバランスを整えよう!
腸内細菌叢には、免疫調整機能があると考えられています。
アレルギーと腸内細菌叢は深く関係しており、花粉症の人は腸内細菌叢に占めるビフィズス菌数が少ないと言われています。
花粉症の症状を少しでも改善する為に、オリゴ糖や発酵食品、食物繊維をしっかり摂取し、腸内環境を整えましょう。
便通を整える食事を意識してみましょう。
【その3】口呼吸ではなく、鼻呼吸で!
花粉症で鼻が詰まると、口呼吸になります。
口呼吸になると、乾燥した冷たい空気と一緒にアレルゲンを吸い込む事になり、喉に炎症が起きたり、病原体に感染しやすくなります。
持続性のある血管収縮作用のある点鼻や、鼻腔拡張テープなどを使用し、できるだけ鼻で呼吸出来るようにしましょう。
睡眠時にマスクをするのも良いでしょう。
【その4】朝の起床時に注意!
起床時、通常よりも花粉症の症状が強く出ることがあります。
これは、寝ている時に花粉を吸い込んでしまう事、更に起床時の自律神経の切り替えが上手く出来ない為、花粉に対して過敏に反応してしまう事が考えられます。
この時、強く鼻をかむと症状が悪化することがありますので、やさしく鼻をかむようにしましょう。
まずは布団や床の花粉を掃除で取り除き、寝ている時に出来るだけ花粉を吸い込まないようにしましょう。
自律神経のバランスを整える為、ストレスを軽減させ、規則正しい生活を送るようにしましょう。
【その5】出かける時の洋服に注意しよう!
外出時に帽子をかぶる事で、髪の毛に付着する花粉の量を減らす事が出来ます。
なるべく花粉が付かないような、ツルツルとした素材の服にすると良いでしょう。
帰宅時は、玄関の前で服をはたいて、花粉を落としてから中に入ります。
コートなどは玄関に置いて、部屋の中に花粉を持ち込まないようにしましょう。
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高カリウム血症について
【高カリウム血症を生ずる病態】
腎不全
- 正常なナトリウム、カリウムの交換が妨げられている状態。
- 出血性ショックと、急性腎不全により循環血液量減少が起こると、身体は可能な限り血圧と血液量を維持しようと務める。腎臓の機能停止のおそれのあるような乏尿や無尿状態が進行している一方で、細胞外液中に放出されたカリウムが溜まってしまう。
アジソン病
- アルドステロンの欠乏が、ナトリウムと水の過剰な排泄をさせてしまい、結果として高カリウム状態になる。
大きな細胞傷害
- 火傷、挫傷により崩壊した細胞は、細胞内のカリウムを血漿中に放出する。それにより、細胞内のカリウム量は通常の50倍にもなる。更にこのような状態時には、尿の排泄は止まりがちになる。
- 心筋梗塞の場合、冠動脈の閉塞により損傷をうけた心筋細胞がカリウムを放出し、局所的に高カリウム血症をひきおこす。
- このような場合、心電図の波形に注意!過剰な血漿中の陽イオンは、心臓の活動電位を低下させ、筋肉の活動性を減じさせる。脱分極は促進され、心室収縮は弱まってしまう。
【症状からの予測】
- 脱力感、不快感、嘔気、腹痛、筋緊張、弛緩性の麻痺、下痢、乏尿、心電図の異常波形(異常Q派、ST上昇)
【処置】
陽イオン交換レジンは、カリウムに結合し、腸管を通過して取り除くことが出来る。
炭酸水素ナトリウムは血漿をアルカリ化することによりカリウムイオンを尿中に以降させ、カリウム濃度を低下させる。
カルシウムは血漿中のカリウム濃度には影響しないが、神経、筋の膜に作用し、高カリウム血症による心臓毒性に対して拮抗する。
参考文献:「正しい体液・電解質のモニタリング」
【小児】発熱時はテオフィリン濃度が上昇する。
【発熱時はテオフィリンの血中濃度に注意】
- 発熱時や、インフルエンザなどの急性ウイルス観戦時には、肝臓でのテオフィリン代謝能力が低下し、テオフィリン血中濃度が上昇する。
- したがって、発熱時には血中濃度上昇による副作用に注意が必要。
- 副作用の疑いがある場合は、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましいが、すぐに測定出来ない場合は、投与量を半分に減らす。
- 発熱によるテオフィリン代謝能力の低下は、解熱後3日程度で回復する。発熱時に投与量を変更した場合は、解熱後元に戻しておくこと。
《テオフィリン投与時に注意する項目》
- 年齢:2歳以下の乳幼児
- 合併症:発熱、インフルエンザなどの急性ウイルス感染
- 既往歴:てんかん、痙攣
- 併用薬:抗生剤(マクロライド系など)、シメチジン、インフルエンザワクチン、キサンチン製剤(テオフィリン、アミノフィリンなど)、抗ヒスタミン薬
- OTC:カフェインなどのキサンチンを配合したもの
NSAIDsの外用剤は不妊を引き起こすか?
【NSAIDsによる不妊報告について】
- 長期間NSAIDsを服用していた患者に一時的な不妊が認められたという症例が海外で報告された。
- 酸性NSAIDs(インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、ナプロキセン)を数年間服用していた慢性関節リウマチ等の炎症性関節疾患の女性患者において、不妊状態が出現。その後、NSAIDsの服用を中止したところ正常に妊娠した。
【NSAIDsが引き起こす不妊の機序】
- NSAIDsによるシクロオキシゲナーゼ阻害作用により、プロスタグランジンの合成が阻害される事に関係する。
- 排卵前期の卵胞には、COX2が発現し、排卵を促進する働きのあるプロスタグランジンE2の合成を促進する。そのため、NSAIDsを服用すると、COX2が阻害されて卵胞が成熟しても排卵されないまま黄体化してしまい、不妊が引き起こされると考えられている。
- しかし、NSAIDsによる不妊は可逆的なものである。
【NSAIDs外用剤における不妊への影響】
- 外用剤の使用は一時期なものであり、短期の使用であれば問題ない。
- NSAIDsの不妊への影響は可逆的なため、使用後に影響が残ることは考えにくい。
- これまでの不妊の報告は全て経口剤であり、外用薬での血中移行濃度は非常に少ない為、不妊に対する影響はほとんど無いと考えられる。
- 軽い炎症で短期のNSAIDs外用薬の使用であれば、炎症が緩和したら外用剤の使用を自己判断で中止しても構わない。
PRGF法について
PRGF法とは、plasma Rich in Growth Factors の略。
患者から採取した血液を遠心分離にかけ、中の増殖因子(成長因子)を多く含む血症を用いて治療する方法。
自己血を使用するため、副作用はほとんど無く、更に治療期間を短縮できるという利点がある。
プロスポーツ選手(ナダル選手や田中投手など)の怪我の治療で、この方法を使用した。
スポーツ医学のイメージが強いが、歯科など、他の領域でも幅広く使用されている。
- 歯科:抜歯後、インプラント周囲組織の欠損、歯周病などに伴う歯周囲組織の欠損
- 整形外科:骨、筋、腱、靭帯、軟骨などの欠損
- 皮膚科:皮膚の損傷や欠損、アンチエイジング
- スポーツ医学:関節や靭帯損傷
- その他:眼科、一般外科、形成外科、血管外科など
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医療事故を防ぐ為には~ハインリッヒの法則~
【人間は間違いを起こすもの】
人とは間違いを起こすもの。
個人の経験、知性、動機、注意力とは無関係に、人は間違えを起こす。
患者の安全を守る為には、
- 間違いを少しでも減らすための対策
- もし間違いを起こしても、事故に拡大させないための対策
をとることが重要。
【ヒヤリ・ハットとは】
患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場でヒヤリとしたり、ハッとした経験を有する事例のこと。
ある医療行為が、
- 仮に患者に実施されたとすれば、何らかの被害が予想される場合
- 患者に実施されたが、結果的に被害がなく、その後の観察も不要であった場合
を「ヒヤリ・ハット」と呼ぶ。
1件の重大な事故が起こる背後には、29件の軽微な事故が起きており、更に300件ものヒヤリ・ハットが起きているという法則。
アメリカの損害保険会社に勤めていたハインリッヒが、1929年に発表した。
重大な事故を未然に防ぐ為には、ヒヤリ・ハットの情報を公開、共有することが重要。
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