くすりの木

勉強会の内容や、日々の業務で必要な知識を、健忘録としてこのブログに書いていきます。不定期更新です。

【海外処方薬】溶かして飲むタイプのビタミン剤

お久しぶりです。 ものすごい久しぶりの更新になってしまいました。 詳しくは別記事で書こうと思いますが、今南米アルゼンチン(ブエノスアイレス)に住んでおります。 自分や家族を含め、こちらで薬が処方されたりすることは多いのですが、 日本での薬剤師…

嗅覚異常について

嗅覚障害の種類 嗅覚脱失(においを全く感じない) 嗅覚減退・低下(においを感じる力が弱まる) 嗅覚過敏(鼻につくほど強くにおう) 嗅覚錯誤(今までとは違った悪臭のようなにおいを感じる) 嗅覚幻覚(実際には存在しないにおいを感じる) 自覚的悪臭症…

小児の手足の痛み。

考えられる原因 成長痛:夜間、痛みで寝付けず泣くこともある。 整形外科的疾患:靴の不具合、単純性股関節炎、偏平足、ペルテス病など 外傷:疲労骨折、捻挫、打撲、虐待によるもの。 感染症:化膿性関節炎、化膿性骨髄炎、筋膜炎。 膠原病:小児慢性関節炎…

小児の突発性発疹について。

突発性発疹とは 乳児(主に生後4ヶ月から1歳まで)が罹患する。 3~4日間、38度から40度近い熱が続き、熱が下がると同時に全身に発疹が発生する。 高熱でも、機嫌が良くミルクも良く飲む事が特徴。便がゆるくなる。 突発性発疹はHHV-6(ヒトヘルペスウイルス…

先天性耳瘻孔の簡単メモ。

先天性耳瘻孔congenital aural fistula 耳介は、発生上6個の組織の塊が融合して生じる。 この融合のさいに生じたと考えられるのがこの瘻孔(耳瘻孔aural fistula)となる。 多くは耳輪の起始部の前方に開口部があり、耳介軟骨の軟骨膜は盲管で終わっている。…

ホルモンの分類と作用機序:簡単まとめ

ホルモンの分類 ①タンパク質・ペプチドホルモン アミノ酸が連なったもの。 受容体は細胞膜に存在する。 脳下垂体ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン等 視床下部ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、…

小児の薬物動態の特徴

薬物の吸収について 新生児の胃内pH は出生直後はほぼ中性であり、成人の値に達するのは生後三ヶ月。そのため、新生児ではフェノバルビタール、フェニトインなどの酸性薬物の吸収は低下し、ペニシリンのような酸に不安定な薬剤の吸収は成人に比べ上昇する。 …

NDM-1産生菌の特徴

NDM-1とは βラクタム剤を分解する、βラクタマーゼの1つ(クラスBβラクタマーゼ:メタロβラクタマーゼに分類される)。 ペニシリン、セフェム系からカルバペネム系まで全てのβラクタム剤を分解する。 つまり、βラクタム剤全てに耐性をもたらす耐性因子である…

MHC(主要組織適合遺伝子複合体)について

MHCとは 細胞膜表面に存在する糖タンパク質。自己細胞と非自己細胞を認識するための抗原。 全ての高等脊椎動物に存在する(人間ではHLA抗原、マウスではH-2抗原)。 人間のHLA遺伝子群は、第6染色体上に存在している事から、組織適合遺伝子複合体と呼ばれる…

多剤耐性アシネトバクターについて

アシネトバクターは環境に広く存在する菌 院内にも、自然界にも広く存在する細菌。 院内の床や、医療従事者の皮膚からも分離されるが、そのほとんどは抗菌薬に感受性がある。 乾燥した環境でも長時間生存できる アシネトバクターはブドウ糖非発酵のグラム陰…

テープ療法について。

粉瘤手術後、傷跡を出来るだけ目立たないようにするために、テープ療法を行いました。 使用するのは3M社のテープです。 テープ療法のやり方はこちら。 ※私の場合※ 手術をしたのが夏だったので、テープを貼り続けていると汗で痒くなってしまい、 2ヶ月くら…

小児のしらみ(アマタジラミ)について。

しらみは不潔だから感染するのではない 日本以外の地域でも幼児・学童に増加している。 しらみの感染は、頭髪の接触で簡単に感染する為であり、不潔だからではない。 家族や集団単位での治療と予防が必要になる。 アマタジラミの好発部位は頭髪(特に側頭部…

体液性免疫について

体液性免疫とは 異物の侵入によって抗体が産生され、抗体によって異物の排除を行う。 抗体は微生物の付着を阻止、毒素の中和、微生物の凝集、食細胞による貪食を促進させる。また、補体と共に細菌を溶解させる。 ①抗原 体内に侵入すると、免疫系の細胞が認識…

膜電位依存性カルシウムチャネルについて。

膜電位依存性カルシウムチャネルとは カルシウムイオンを選択的に透過させるイオンチャネル。 チャネルを通して流入したカルシウムイオンが、セカンドメッセンジャーとして筋収縮や伝達物質の放出等を制御する。 4種類の型があり、ぞれぞれ特徴がある。 閾…

中東呼吸器症候群(MERS)について

中東呼吸器症候群(MERS)とは 2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症。 コロナウイルスが原因で感染する(2003年に流行ったSARSもコロナウイルス)。 2015年6月までの状況では、感染報告地域は計25カ国。致死率38%。 感染経路 ヒトコブラクダがMERS…

小児の接触性皮膚炎

接触性皮膚炎の原因 灯油 火傷のような皮膚炎になる。灯油が付いた衣服との接触で生じる 植物 草によるかぶれでは、線状に並んだ小水疱型になる。 漆によるかぶれが起きた事がある子は、銀杏、マンゴーにも注意すること。 桜草、菊、アロエが原因で皮膚炎を…

反復性中耳炎のリスクファクター

反復性中耳炎とは 「過去6ヶ月以内に3回以上、12ヶ月以内に4回以上の急性中耳炎罹患」と定義される。 何らかのリスクファクターが、短期間に中耳炎を反復する原因となっていることが多い。 主なリスクファクター 低年齢 集団保育 母乳栄養期間 起炎菌の耐性…

ホルモン受容体と光受容体

ホルモン受容体 細胞膜受容体を介するホルモン ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、カテコールアミンを構成成分とするホルモン 機能の発現は受容体に結合した後に活性化されるセカンドメッセンジャー(cAMP、cGMP、イノシトール-1,4,5-三リン酸など)によ…

「侮れない耳鳴り」メモ:~チョイス:病気になった時~

耳鳴りは3つに分類される。 ①加齢性難聴と突発性難聴 ☆加齢性難聴 一番多い耳鳴り 軽度の難聴でも引き起こされる。 40代から発症する人もいる 聴力検査で、内耳の衰えを調べる。耳の中の血流が悪いのが原因。 動脈硬化と加齢性難聴は関係していると言われて…

低用量ピルの作用・分類・副作用について

【低用量ピルの作用】 排卵の抑制 子宮内膜抑制 頚管粘液の粘調 【低用量ピルの分類】 黄体ホルモンと卵胞ホルモンを併用した方が効果が高い。 高用量は卵胞ホルモンが50μg以上。中用量は50μg。低用量は50μg未満。超低用量ピルは30μg未満。 含まれる…

外リンパ瘻について

外リンパ瘻とは 耳小骨からの振動を音として感じる働きのある「内耳窓」が破れ、内耳の中にある「外リンパ液」が中耳に漏れ出す病気。 内耳窓が破れる時、「ポン!」と音がすることがある。 内耳窓は、中耳と内耳を仕切る膜で、前庭窓(卵円窓)と蝸牛窓(正…

粉瘤治療記録~手術中の会話が面白かった~

初めて粉瘤が出来まして、治療をしたのでまとめておこうと思います。 ※粉瘤は皮膚の下にある袋状の脂肪のかたまり(もしくは表皮の袋)です。 粉瘤腫 - Wikipedia 数ヶ月前に、左肩にポコっとしたものが出来まして。 脂肪かなとは思ったのですが、痛くないの…

サイエンスZERO「登場!がん治療を変える新薬ニボルマブ~免疫のブレーキを外せ~」まとめ。

今までの免疫療法の問題点 今までの免疫療法は、T細胞の数を増やしたり、力を強めることでがん細胞に対する攻撃力を高めていたが、ほとんどの人で効果が無かった。 これは、がん細胞がT細胞のブレーキボタン(PD-1)を押していたことが原因。 免疫を高めても…

アレルギー診断テストについて。

in vitroの試験 RAST (radioallergosorbent test) アレルゲンを結合させたペーパーディスクに、血清試料及び125I標識抗ヒトIgE血清を加えて、アレルゲン結合IgE抗体と複合体を形成させる。放射活性よりIgE抗体濃度を0~4に分類する。 アレルゲンディスクに…

P-drugとP-treatmentについて(メモ)

P-drug(personal drug)とは オランダのGroningen大学医学部における薬物療法(臨床薬理学)の教育プログラムから始まった。 WHOのAction Programme on Essential Drugの一貫として提唱されている概念。 Evidenceに基いて、自家薬籠中の薬を選び、それを各患…

乳がんについて(勉強会メモ)

乳がんとは 進行遅い。1センチになるのに7~8年かかる。長い潜伏期間あり。 昔の治療は、筋を含めて一塊に乳房を切り取る外科手術だったが、近年では温存療法が主流。外科の手術は縮小傾向にある。 乳がんの70%はエストロゲンで大きくなる。 治療について …

咽頭がん・喉頭がんについて。

咽頭(いんとう)がん・喉頭(こうとう)がんとは 日本では年間約800万人が癌になっているが、そのうちの1~2万人が喉の癌になる。 男性のリスクが高く(女性の10倍)、50代~60代に多い。 癌のリスクファクターは、タバコとアルコール。 咽頭がんの約90%…

【考察】ザジテンとクラリチンの共通点は?

ザジテンとクラリチンの共通点をご存知でしょうか。 まずは、それぞれの薬の構造式と特徴的な禁忌・副作用について見てみましょう。 ザジテン(ケトチフェンフマル酸塩) ザジテンは、てんかん又はその既往歴のある患者には禁忌です。 (痙攣閾値を低下させ…

NHKスペシャル「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム」メモ

慢性腰痛とは 腰痛に苦しんでいる人は、約2800万人。そのうちの半数が、慢性腰痛になっている。 慢性腰痛とは、痛みが3ヶ月以上続く腰痛のこと。 腰痛で働けなくなる人も多く、腰痛による経済的損失も無視出来ない。 腰の痛みの原因は、骨(椎間板ヘル…

Toll様レセプター(TLR)について

生体防御免疫は、獲得免疫系と自然免疫系の2つに大きく分けられる。 獲得免疫系 脊椎動物のみが有する高等な免疫系で、B細胞やT細胞が関係する。 認識する対象は抗原で、認識受容体はBCR、TCR。 一度侵入した病原体由来の抗原をT細胞が記憶し、再びこの抗原…