くすりの木

勉強会の内容や、日々の業務で必要な知識を、健忘録としてこのブログに書いていきます。不定期更新です。

NHKスペシャル「腰痛・治療革命~見えてきた痛みのメカニズム」メモ

 

慢性腰痛とは

  • 腰痛に苦しんでいる人は、約2800万人。そのうちの半数が、慢性腰痛になっている。
  • 慢性腰痛とは、痛みが3ヶ月以上続く腰痛のこと。
  • 腰痛で働けなくなる人も多く、腰痛による経済的損失も無視出来ない。
  • 腰の痛みの原因は、骨(椎間板ヘルニア)と筋肉(怪我や、コリによる炎症)が原因。骨も筋肉も一度に原因となるのはぎっくり腰。通常であれば、痛みは3ヶ月以内に良くなる。
  • しかし、検査しても異常が無いのに、痛みが改善しない人がいる

 

異常が無いのに痛みが改善しない理由は?

  • 慢性腰痛の人とそうでない人の脳の活動に大きな差があることが発見された。
  • 慢性疼痛の人は、DLPFCの体積が少なくなり、DLPFCの活動が衰えている事が分かった。
  • 腰の痛みは神経からの電気信号で脳に伝わり、「痛みの回路」が出来る。それによって人は痛みを感じる。
  • DLPFCは、痛みの回路の興奮を沈める命令を出す。そのため、DLPFCの活動が衰えていると、いつまでも「痛みの信号」が消えず、痛みを感じてしまう。
  • 異常の無い慢性腰痛の人が感じているのは、幻の痛みであると言える。

 

なぜDLPFCが衰えてしまうのか?

  • 腰痛に対する、強い恐怖心、不安が原因と考えられている。
  • 恐怖心を無くし、不安を取り除くことでDLPFCの働きを改善することが出来る。

 

どうやって恐怖を克服するか?

①映像を見ることで、脳のリハビリを行う。

  • 腰痛に対する正しい知識についての映像を見ることで、「腰痛は怖くない!」と理解してもらう。
  • オーストラリアでは、腰痛についてのコマーシャル(数十種類)を流す事で、国民の腰痛が大幅に改善された。
  • 恐怖心が弱まる事で、DLPFCの働きを改善する。
  • 映像を見るだけで、175人中68人の人(約38%)が腰痛が改善された。

 

②1回数秒、ある姿勢をとってもらう。

  • 映像を見るだけでは改善しない人達には、以下の姿勢(図参照)を毎日とってもらう(腰から膝にかけてしびれが出る場合は、神経を圧迫しているので中止すること!)。
  • 腰が痛いと、ついつい前かがみになりがちだが、そこをあえてのけぞらせることで、自信をつけてもらう。
  • 映像と体操で、約56%の人で腰痛が改善された。

 

 

③それでも改善しない人には、「認知行動療法」。

  • 3週間の心理療法認知行動療法」を行う。
  • 毎日8時間、カウンセリングと運動を1時間ごとに繰り返す事で、慢性腰痛を改善させる。

 

 

まとめ

  • 痛みが3ヶ月以上続くのは慢性腰痛。
  • 検査で以上が無い人の痛みは「幻の痛み」の可能性がある。
  • 腰痛は、身体全体、神経全体としてとらえる必要がある。
  • 痛みに対する強い恐怖心を減らし、DLPFCの働きを高める事が必要。
  • 今までの薬物療法に加えて、認知行動療法運動療法も組み合わせて治療するのが理想。

 

感想

今後、腰痛に限らず、他の難治性慢性疼痛に応用されていくと思われます。早く保険適応になってほしいですね。

 

 

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Toll様レセプター(TLR)について

 

 

生体防御免疫は、獲得免疫系自然免疫系の2つに大きく分けられる。

 

 

獲得免疫系

  • 脊椎動物のみが有する高等な免疫系で、B細胞やT細胞が関係する。
  • 認識する対象は抗原で、認識受容体はBCRTCR
  • 一度侵入した病原体由来の抗原をT細胞が記憶し、再びこの抗原の侵入がT細胞上にあるCD4を介して認識されると、抗原特異的な免疫応答を誘導する。

 

自然免疫系

  • 生体に備わっている免疫で、マクロファージや樹状細胞、好中球が関係している。
  • 認識する対象は病原体由来の分子構造(PAMP)で、認識受容体はPRRやTLR。
  • 無脊椎動物脊椎動物で、獲得免疫系の活性化が起こる前に生体防御反応が誘導される。

 

獲得免疫系では、抗原受容体はCD4などであるが、自然免疫系では、Toll様レセプター(TLR)が外来異物の認識に非常に重要な役割を果たしている事が近年解明された。

 

Tollレセプターは、1996年にショウジョウバエにおいて細菌や真菌などの病原体の侵入を知らせ、感染防御反応を誘導する受容体として発見された。

哺乳類にも、Tollレセプターと似た構造を持つものが、免疫系に大きく関与していることが発見され、Toll様レセプター(TLR)と名付けられた。

 

自然免疫系では、グラム陰性菌のリポ多糖のような外来異物をそのまま認識して、貪食細胞が処理を行う。

Toll様レセプター(TLR)は、その貪食細胞上に存在し、リポ多糖を認識する膜貫通タンパク分子である。

 

 

 

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ウイルスについて

 

 

ウイルスとは

  • 真菌、細菌とは異なり、それ自身で人口培地上で増殖することができない。
  • 極めて小さく、光学顕微鏡では観察できない。
  • ラテン語で「毒」を意味する言葉。

 

ウイルスの性状

  • 細菌濾過膜を通過する大きさ(約20~300nm)。
  • 遺伝子としてDNAあるいはRNAを有している。
  • 増殖には生きた細胞が必要。

 

ウイルスの形態

 

ウイルスの分類

  • 核酸構造による分類
  • 寄生宿主による分類
  • 感染症の臨床症状に基づく分類

 の三種類に分類される。

 

核酸構造による分類について

DNAウイルス:遺伝子としてDNAを持つもの。

(ヒトアデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、痘瘡ウイルス)

 

RNAウイルス:遺伝子としてRNAを持つもの。

(インフルエンザウイルス、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、日本脳炎ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ラッサ熱ウイルス、レオウイルス)

 

②寄生宿主による分類について

寄生する宿主によって、動物ウイルス、植物ウイルス、細菌ウイルスに大別される。

 

感染症の臨床症状に基づく分類について

  • 向多臓器性ウイルス(風疹ウイルス、麻疹ウイルス、痘瘡ウイルス)
  • 向神経性ウイルス(ポリオウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス)
  • 向肺性ウイルス(インフルエンザウイルス、アデノウイルス
  • 向皮性ウイルス(単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス)

 

ウイルスの増殖について

  • ウイルスの増殖課程は、宿主細胞への吸着⇒侵入⇒脱外皮(アンコーティング)⇒転写⇒翻訳の順で進行する。
  • 転写、翻訳の課程はDNAウイルスウイルスとRNAウイルスで異なる。

 DNAウイルスの増殖

  • 核内でDNAを転写し、ウイルスの遺伝情報を持ったmRNAを生成、必要なタンパク質の合成に利用して増殖する。

 RNAウイルスの増殖

  • 細胞内に侵入したRNAウイルスは、種々の方法で増殖していく。
  1. ウイルスRNAがそのままmRNAとして働くもの(ピコルナウイルス、トガウイルス)
  2. ウイルスRNAから逆転写酵素によりcDNAを生成し、更に転写によりmRNAを生成するもの(レトロウイルス)
  3. ウイルスRNAからRNAポリメラーゼにより、相補的なmRNAを生成するもの(オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス)

 

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耳垢栓塞について

耳垢とは

  •  耳垢は、外耳道の分泌腺から分泌される分泌液とホコリなどが交じることで形成される。
  • 耳垢には湿性と乾性の二種類あり、日本人の約7割は乾性の耳垢である。湿性タイプの多い欧米では、耳垢除去に関するガイドラインが作成されているが、乾性タイプの多い日本では耳垢除去のガイドラインは無い。
  • 乾性耳垢は外耳道の自浄作用で自然に排泄される。

 

耳垢栓塞とは

  •  乾性耳垢であっても、外耳道の変形や毛の増加、補聴器やイヤホン使用により耳垢が蓄積し、外耳道が塞がれる事がある。これを耳垢栓塞という。
  • 成人では少ないが、外耳道が狭い小児や自浄作用が低下する高齢者では耳垢栓塞になりやすい。

 

耳垢栓塞の症状と危険性

  • 症状は、難聴、耳鳴り、耳の閉塞感や、入浴後など耳垢が水分を含んで膨張することによる耳痛がある。
  • 悪化すると、外耳道炎、外耳道骨破壊を引き起こす事がある。
  • 高齢者の場合、耳垢栓塞による聴力低下が認知機能障害の要因となりうる。

 

耳垢栓塞の治療

  • 耳垢を、耳垢鉗子や吸引管などで摘出する。
  • 耳垢が固い場合は、耳垢水を点耳して、耳垢を柔らかくしてから摘出する。
  • 耳垢水は炭酸水素ナトリウム、グリセリン、精製水で作成した製剤を使用する。

※2004年に医療用耳垢除去剤のワックスネートが製造中止になった後初めて、2015年7月7日に新しい医療用耳垢除去剤が発売される。

セオリアファーマから発売される「ジオクチルソジウムスルホサクシネート耳下用液5%CEO」である。

医療用医薬品 : ジオクチルソジウムスルホサクシネート

www.ceolia.co.jp

 

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デング熱で注意すべき事

デングウイルスを媒体する蚊は人の住環境に生息しているので、森や林で感染するとは限らない。

都市部で感染が流行することもあるので、注意が必要。

 

【症状】

デングウイルスを持った蚊に刺された後、約2~15日(多くの場合は2~7日)後に発症する。

主な症状は、頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹。

症状が軽く済む場合がほとんどだが、まれに「デング熱出血熱」「デングショック症候群」という重篤な症状になることもある。

 

通常の感染と異なり、一度感染して免疫を獲得してしまうと、次回以降重篤化しやすい。

 

【治療法】

特別な治療法や予防薬は無い。

対称療法として、アセトアミノフェンの内服や、輸液の投与で対応する。

 

デング熱時に注意すべき薬】

サリチル酸系の非ステロイド系抗炎症薬は、出血傾向やアシドーシスを助長する可能性がある。

アセトアミノフェンで対応すること!!

 

【予防方法】

蚊にさされないようにすることが唯一の予防法となる。

そのために、

 

①長袖、長ズボンを着用する

②防虫スプレーをこまめに付ける

③黒い服は蚊が好むので、明るい色の服を身につける

 

等、きちんと予防する事が大事。

 

 

 

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別冊宝島「人体大図鑑」がなかなか良いです!

別冊宝島の「人体大図鑑」。

職場の人に勧められて、買ってみました。

意外と詳しく載っていて、とても良いです!

しかもお値段980円(税別)!!

 

 

養老孟司先生が監修をされています。

 

 

病気の発症についても載っていました。

専門の人には情報量が少ないですけど、

一般の方には充分ではないでしょうか。

 

イラストだけで臓器の写真は無いので、一般の方でも見やすいかなと。

専門の人にとっては、気軽に楽しく読める一冊ではないかと思います。

 

筋肉やリンパ、口~咽頭までの所が見たいなあと思っていたので、すごく便利。

(引越しの時に『身体の地図帳』を捨ててきてしまったので・・・)

 

 

コンビニでも売っていますので、ご興味のある方は是非☆

 

 

 

 

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熱中症について

熱中症とは

熱中症とは、高温環境下で起こる

  1. 体内の水分や電解質(ナトリウム・カリウムなど)の欠乏
  2. 高体温による臓器障害

の総称。

 

熱中症の要因

  • 気温、湿度が高く、風が弱い
  • 輻射熱の上昇
  • 運動による体内での熱産生
  • 加齢などによる身体の放熱能の低下
  • 発熱、脱水などの体調不良
  • 心機能・腎機能の低下
  • 通気性や吸収性が悪い服装
  • 脳血管障害や精神疾患などの既往
  • 暑い環境に対し身体が順応していない
  • 乳児、幼児(発汗機能や腎機能が未熟の為、気温が高いと体温が上昇しやすい)

 

熱中症の発生状況

  • 気温の上昇する午前11時前後と、仕事の疲れがでやすい午後3時頃にピークがある。夜間でも照明灯の下でスポーツや肉体労働をする人達の熱中症の発症が増加している。
  • 10代と50~60代の発症が多い。
  • 若年男女、中年男性、高齢女性に多い。
  • 生理機能、体温調整機能が低下している高齢者の場合、自宅で安静にしている状態でも熱中症になる。

 

熱中症の予防

①暑さを避ける

  • 屋外では日陰を選んで歩き、帽子や日傘を活用する。
  • 運動する場合は、WBGT(下記参照)などを参考に環境条件を把握し、熱中症予防運動指針を守る。

②服装を工夫する

  • 通気性の良い、白色系の素材を選ぶ。
  • 襟元はなるべく緩めて通気する。
  • 運動時に使用する保護具などは休憩時には外して放熱する。

③こまめに水分と塩分の補給を行う

  • 喉が乾く前、もしくは暑い所に出る前から補給する。
  • 特に発汗が多い場合には、経口補水液(ORS)を用いる。

④急に暑くなる日に注意する

  • 暑くなり始めの時期、熱帯夜の翌日などは注意。
  • 子どもの場合、日頃から適度に外で遊ばせて暑さに慣れさせておく。
  • 高齢者の場合、初夏から身体を順応させておく(1日1回は陽射しの中を歩き、その後クーラーのきいた部屋で過ごす等)

⑤個人の条件を考慮する

  • 睡眠不足、下痢、脱水、発熱がある場合は特に注意する。
  • 体力が無い人、暑さに慣れていない人、以前熱中症になったことがある人も注意すること。
  • 降圧薬、糖尿病薬、向精神薬などを服用している人も注意すること。

 

 

WBGT(湿球黒球温度:Wet-Bulb Globe Temperature)とは

気温、湿度、輻射熱の3因子を取り入れた、スポーツや労働時の熱中症予防の温度指標。

WBGTが25未満であれば注意(危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性あり)

25~28であれば警戒熱中症の危険が増す為、積極的に休息を取って水分補給を行う。激しい運動であれば30分おきに休息をとる)

28以上は厳重警戒・激しい運動は禁止(激しい運動、持久走などの体温が上昇しやすい運動は避ける。体力が無い人、暑さになれていない人は運動中止)

31以上は運動は原則禁止(皮膚よりも気温の方が高くなり、身体から熱を逃がすことが出来ない。特別な場合以外は運動禁止)

 

 

環境省の「熱中症予防サイト」に、全国の暑さ指数(WBGT)の実況と予測など、これからの季節に役立つ情報が載っています。

是非ご覧ください。

環境省熱中予防情報サイト

 

 

 

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