サイエンスZERO「登場!がん治療を変える新薬ニボルマブ~免疫のブレーキを外せ~」まとめ。
今までの免疫療法の問題点
今までの免疫療法は、T細胞の数を増やしたり、力を強めることでがん細胞に対する攻撃力を高めていたが、ほとんどの人で効果が無かった。
これは、がん細胞がT細胞のブレーキボタン(PD-1)を押していたことが原因。
免疫を高めても、がん細胞によってその力は弱められていた。
免疫check point阻害剤とは?
免疫check pointとは、T細胞が自分自身を攻撃しないように「攻撃の終了」を命令するブレーキボタンのこと。
このブレーキボタンをがん細胞が押して免疫を弱めていた。
がん細胞からT細胞のブレーキボタン(PD-1)を守ることにより、免疫力が弱まることなくがん細胞を攻撃することが出来る。
この作用を持つ薬は製剤化され、臨床で使用されている。日本人が発明した成分で、一般名は「ニボルマブ」という。
ニボルマブの効果と副作用について
一般的ながん治療薬にある「吐き気、脱毛」の副作用は無い。
しかし、間質性肺炎や甲状腺異常、腸炎などの自己免疫疾患は発現する可能性がある。
単独で沢山の種類のがんに効果があることが実証され始めている(※今後も適応が拡大する可能性があります)。
メラノーマ(悪性黒色腫)の患者に投与したところ、2割~3割の患者の癌が縮小~消失した(※メラノーマの予後は非常に悪く、2~3割でも延命が出来たというのは物凄い事です)。
1回効くと、数年単位で長く効くのが特徴。
がん細胞が変異しても、T細胞の攻撃増強効果が持続している。
どんな人に良く効くのか?
PDL-1は、がん細胞が持っている「PD-1と結合できる部分」。
患者によってPD-L1の量が異なる。
PDL-1が多い人の方が生存率が低い(T細胞にブレーキを沢山かけてしまうので)
しかし、PDL-1が多い方がニボルマブが効く、というわけではなさそう。
患者によって、PDL-1の発現が変化している可能性が??
どんな人に良く効くのかは、まだ不明。
今は、ニボルマブと様々な抗癌剤を組み合わせて効果を試している。
何故効かない人がいる?
PD-1以外のブレーキが押されている可能性がある。
T細胞が疲れきっていると、効果が得られない可能性がある(アクセルが壊れた車のアクセルボタンを押しても動かない)。
まとめ
・ニボルマブは免疫のブレーキを外すことでがんを治療する薬。
・免疫のブレーキを外すことは、アクセルを押す事よりも重要。
・T細胞には、PD-1以外のブレーキや、アクセルボタンが存在する可能性あり。
・免疫のアクセルを踏みつつ、ブレーキを外す方法の研究が求められる。
・今後、薬でガンを本当に克服できる時代が来るのかもしれない。
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